「職業としての小説家」を読んで

 

書籍レビュー

村上春樹 『職業としての小説家』 | 新潮社

 

ー書籍概要ー

著者:職業としての小説家

訳者:村上春樹

出版年月:2016年9月

出版社:新潮文庫

 

 

本書は、村上春樹の自伝的エッセイ本である。

「モノを書く」ということ、そして「村上春樹」という一人の人間としての強い信念や力強さを感じる。

文体は、人々に語りかけている感じで読みやすい。

 

本書を読んでいると、

・小説を長く書き続けること

・小説を書いて生活していくこと

・小説家として生き残っていくこと

が、どれほど難しいことなのかがよく伝わってくる。

 

毎年デビューする作家はいても、彼ら/彼女らが数十年後も同じように小説を書き続けているかと言えば、そうではない。

小説を書くということは、本当に大変な作業である。

 

30年以上ものあいだ同じ土俵、ましてや小説家として居続けることには、私からしたら「すごいな~」という言葉以外何もない。

 

いろいろな批判もあるが(例えば芥川賞)、それらに対して持論を譲らず、

「自分」という軸に沿ってきたからこそ、そこに「村上春樹」というオリジナリティが生まれたんだなと感じた。

 

少なからず文章を書く身としては参考になることが多い。

 

小説を書くうえで大切な3つのポイントとして、

① 寡黙な集中力

② くじけることのない持続力

③ あるポイントまで制度化された意識=身体力

とある。

 

前に読んだ(別の)本で、「モノを書く」=「運動」と書かれていた。
確かに、「書く」という行為は「アウトプット」であり、これは多少なりともエネルギーを使うことである。

 

特に長編小説を書くとなれば、体力は必須と言えそうだ。

 

本書は小説家を目指す人はもちろんのこと、そうでなくとも「その道のプロとしての姿勢」を学ぶことができるのではないかと思う。